※あくまで個人の感想です。

本や映画の感想を、つらつらと。

カラフル(森絵都)

 

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 

 死んだはずのぼくの魂が、ゆるゆるとどこか暗いところへ流されていると、いきなり見ず知らずの天使が行く手をさえぎって、

「おめでとうございます、抽選に当たりました!」

と、まさに天使の笑顔を作った。

 

書き出しの一文が長いですね。

 

森絵都さんの名作です。

大きなあやまちを犯して死んだ”僕”の魂は、本来ならば輪廻のサイクルから外れるはずだった。しかし、抽選に当たったことで僕は輪廻のサイクルに戻るチャンスを得る。下界にいる誰かの体に入って、前世でのあやまちを思い出せばいいのだ。そこで、”僕”は自殺を図って意識不明となっている小林真の体に入り込み、小林真として過ごすこと(ホームステイと呼ぶ)となるのだが...。

という話です。

 

私は好きなタイプの話ですが、人によっては、子供だましだ、とか、説教臭い、とか思うかもしれません。

また、児童書のイメージがある人もいるかと思いますが、一度、読んでもらいたいです。割とサクサク読めるし。

 

ここから下、ネタバレを含みます。

 

この本を初めて読んだとき、主人公=小林真本人と気づく人ってどれくらいいるのでしょうか。かくいう私は全く気付きませんでした。(当時小学生だった、と言い訳させてください...笑)

 

この作品のテーマって何なんでしょうか。

ラストのシーンで、プラプラ(ガイド役の天使)が、生きていく自信がないという真に対して、「ホームステイだと思えばいい」といいます。

「せいぜい数十年の人生」ってなかなか日常生活の中で、肯定的に捉えることは少ないと思います。でも、だからこそ気楽に、自由に生きていいんだ、とこの作品では教えてくれます。

 

しぶとく生きろ